【登録基準】登録基準(ⅰ)~(ⅹ)と物件例

文化遺産・自然遺産共通の登録基準(ⅰ)~(ⅹ)は、

  • 2005年、第6回世界遺産委員会特別会合で作業指針が改定
  • 2007年、第31回世界遺産委員会から適用
  • (ⅰ)~(ⅵ)が文化遺産、(ⅶ)~(ⅹ)が自然遺産

目次:

  1. 人間の創造的資質を示す傑作。
  2. 建築や技術、記念碑、都市計画、景観計画の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの。
  3. 現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。
  4. 人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学的技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本。
  5. ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人類と環境との交流を示す顕著な見本。
  6. 顕著な普遍的価値をもつ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文学的所産と、直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準とあわせて用いられることが望ましい。)
  7. ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。
  8. 生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。
  9. 陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
  10. 絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値をもつ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のためにもっとも重要かつ代表的な自然生息域。


(ⅰ)人間の創造的資質を示す傑作。

世界的に有名な文化遺産の多くがこの基準を満たしている。

モン・サン・ミシェルとその湾

Diliff [Public domain], via Wikimedia Commons

  • 登録国:フランス
  • 登録基準:(ⅰ)(ⅲ)(ⅵ)
  • 登録年:1979年(2007年拡張)
Wikipediaで詳しく見る>>>モン・サン=ミシェル
UNESCO世界遺産リスト>>>Mont-Saint-Michel and its Bay


※登録基準(ⅰ)のみで登録されている物件は、3つ。

タージ・マハル

Taj_Mahal,_Agra,_India_edit2.jpg: Yann; edited by King of Heartsderivative work: Jbarta [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
  • 登録国:インド
  • 登録基準:(ⅰ)
  • 登録年:1983年
Wikipediaで詳しく見る>>>タージ・マハル
UNESCO世界遺産リスト>>>Taj Mahal

シドニーのオペラハウス

Bjarte Sorensen. Please acknowledge photographer. [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
  • 登録国:オーストラリア
  • 登録基準:(ⅰ)
  • 登録年:2007年
Wikipediaで詳しく見る>>>シドニー・オペラハウス
UNESCO世界遺産リスト>>>Sydney Opera House

プレア・ビヒア寺院

William Brehm [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

  • 登録国:カンボジア
  • 登録基準:(ⅰ)
  • 登録年:2008年
Wikipediaで詳しく見る>>>プレアヴィヒア寺院
UNESCO世界遺産リスト>>>Temple of Preah Vihear


「登録基準(ⅰ)を満たす日本の世界遺産」

法隆寺地域の仏教建造物 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
姫路城 (ⅰ)(ⅳ)
厳島神社 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
日光の社寺 (ⅰ)(ⅳ)(ⅵ)
ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献- (ⅰ)(ⅱ)(ⅵ)


(ⅱ)建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの。

交易路や大きな文化・文明の接する位置に存在することが多い。

イスタンブルの歴史地区

Stanisloav Kozlovskiy [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
  • 登録国:トルコ
  • 登録基準:(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)
  • 登録年:1985年
Wikipediaで詳しく見る>>>イスタンブール歴史地域
UNESCO世界遺産リスト>>>Historic Areas of Istanbul

「登録基準(ⅱ)を満たす日本の世界遺産」

法隆寺地域の仏教建造物 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市) (ⅱ)(ⅳ)
厳島神社 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
古都奈良の文化財 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
琉球王国のグスク及び関連遺産群 (ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)
紀伊山地の霊場と参詣道 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
石見銀山遺跡とその文化的景観 (ⅱ)(ⅲ)(ⅴ)
平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐ (ⅱ)(ⅵ)
富岡製糸場と絹産業遺産群 (ⅱ)(ⅳ)
明治日本の産業革命遺産製鐵・製鋼、造船、石炭産業 (ⅱ)(ⅳ)
ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献- (ⅰ)(ⅱ)(ⅵ)
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 (ⅱ)(ⅲ)


(ⅲ)現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。

現在まで存在している文化・文明。途絶えた文化・文明。人類の化石遺跡なども含む。

ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群

Frédéric Vincent [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

  • 登録国:イギリス
  • 登録基準:(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)
  • 登録年:1986年
UNESCO世界遺産リスト>>>Stonehenge, Avebury and Associated Sites


「登録基準(ⅲ)を満たす日本の世界遺産」

古都奈良の文化財 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
琉球王国のグスク及び関連遺産群 (ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)
紀伊山地の霊場と参詣道 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
石見銀山遺跡とその文化的景観 (ⅱ)(ⅲ)(ⅴ)
富士山‐信仰の対象と芸術の源泉 (ⅲ)(ⅵ)
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 (ⅱ)(ⅲ)
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 (ⅲ)
百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群‐ (ⅲ)(ⅳ)

(ⅳ)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本。

建築が特徴の遺産の多くで認められる基準だが代表的な段階という点も重視されている。
※「シドニーのオペラハウス」や「平泉」はこの基準を満たしていない

ブラジリア

Photo taken and created by Thum_Fel [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

  • 登録国:ブラジル
  • 登録基準:(ⅰ)(ⅳ)
  • 登録年:1987年
Wikipediaで詳しく見る>>>ブラジリア
UNESCO世界遺産リスト>>>Brasilia


「登録基準(ⅳ)を満たす日本の世界遺産」

法隆寺地域の仏教建造物 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
姫路城 (ⅰ)(ⅳ)
古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市) (ⅱ)(ⅳ)
白川郷・五箇山の合掌造り集落 (ⅳ)(ⅴ)
厳島神社 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
古都奈良の文化財 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
日光の社寺 (ⅰ)(ⅳ)(ⅵ)
紀伊山地の霊場と参詣道 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
富岡製糸場と絹産業遺産群 (ⅱ)(ⅳ)
明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業 (ⅱ)(ⅳ)
百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群(ⅲ)(ⅳ)

(ⅴ)ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人間と環境との交流を示す顕著な見本。

その存続を危ぶまれる集落や景観が多く含まれる。農業景観、文化的景観の遺産などもこの基準を満たすものが多い。

バンディアガラの断崖(ドゴン人の地)

Jialiang Gao www.peace-on-earth.org [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

  • 登録国:マリ
  • 登録基準:(ⅴ)(ⅶ)※複合遺産
  • 登録年:1989年
Wikipediaで詳しく見る>>>バンディアガラの断崖
UNESCO世界遺産リスト>>>Cliff of Bandiagara (Land of the Dogons)

「登録基準(ⅴ)を満たす日本の世界遺産」

白川郷・五箇山の合掌造り集落 (ⅳ)(ⅴ)
石見銀山遺跡とその文化的景観 (ⅱ)(ⅲ)(ⅴ)

(ⅵ)顕著な普遍的価値をもつ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文化的所産と直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準とあわせて用いられることが望ましい。)

登録基準(ⅴ)は「他の基準とあわせて用いられることが望ましい」という記述が1996年の原爆ドームの審議以降、書き加えられた。例外的に、「負の遺産」と考えられるものは、(ⅵ)のみで登録されることがある。

ゴレ島

TSGT JUSTIN D. PYLE, USAF [Public domain], via Wikimedia Commons
  • 登録国:セネガル
  • 登録基準:(ⅵ)
  • 登録年:1978年
Wikipediaで詳しく見る>>>ゴレ島
UNESCO世界遺産リスト>>>Island of Gorée

ウルル、カタ・ジュタ国立公園

Leonard G. [Public domain], via Wikimedia Commons
  • 登録国:オーストラリア
  • 登録基準:(ⅴ)(ⅵ)(ⅶ)(ⅷ)※複合遺産
  • 登録年:1987年(1994年拡張)※1987年は自然遺産として登録
Wikipediaで詳しく見る>>>ウルル=カタ・ジュタ国立公園
UNESCO世界遺産リスト>>>Uluru-Kata Tjuta National Park


「登録基準(ⅵ)を満たす日本の世界遺産」

法隆寺地域の仏教建造物 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
原爆ドーム (ⅵ)
厳島神社 (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
古都奈良の文化財(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
日光の社寺(ⅰ)(ⅳ)(ⅵ)
琉球王国のグスク及び関連遺産群 (ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)
紀伊山地の霊場と参詣道 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐ (ⅱ)(ⅵ)
富士山‐信仰の対象と芸術の源泉 (ⅲ)(ⅵ)
ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐ (ⅰ)(ⅱ)(ⅵ)

(ⅶ)ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。

有名な自然遺産の多くがこの登録基準を満たしている。

西ノルウェーフィヨルド群 - ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルド

No machine-readable author provided. Sgm assumed (based on copyright claims). [Public domain], via Wikimedia Commons

  • 登録国:ノルウェー
  • 登録基準:(ⅶ)(ⅷ)
  • 登録年:2005年

「登録基準(ⅶ)を満たす日本の世界遺産」

屋久島 (ⅶ)(ⅸ)

(ⅷ)生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。

恐竜や古代生物の化石遺跡も含む。

グランド・キャニオン国立公園

Daniel Mayer at the English language Wikipedia [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
  • 登録国:アメリカ
  • 登録基準:(ⅶ)(ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
  • 登録年:1979年
Wikipediaで詳しく見る>>>グランド・キャニオン国立公園
UNESCO世界遺産リスト>>>Grand Canyon National Park

「登録基準(ⅷ)を満たす日本の世界遺産」

なし

(ⅸ)陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。

現在進行中の生態学、生物学の代表例を含む。

labeled by Storpilot [Public domain], via Wikimedia Commons

  • 登録国:エクアドル
  • 登録基準:(ⅶ)(ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
  • 登録年:1978年(2001年拡張)
Wikipediaで詳しく見る>>>ガラパゴス諸島
UNESCO世界遺産リスト>>>Galápagos Islands

「登録基準(ⅸ)を満たす日本の世界遺産」

屋久島 (ⅶ)(ⅸ)
白神山地 (ⅸ)
知床 (ⅸ)(ⅹ)
小笠原諸島 (ⅸ)  ※日本の自然遺産のすべて

(ⅹ)絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値をもつ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。

危機遺産リストにい登録されている自然遺産の多くはこの基準が認められている。

ドナウ・デルタ

Image by falco from Pixabay
  • 登録国:ルーマニア
  • 登録基準:(ⅶ)(ⅹ)
  • 登録年:1991年
Wikipediaで詳しく見る>>>ドナウ・デルタ
UNESCO世界遺産リスト>>>Danube Delta

「登録基準(ⅹ)を満たす日本の世界遺産」

知床 (ⅸ)(ⅹ)




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